障害年金を受給している人の障害で最も多いのが精神の障害であり、その精神の障害の中でも圧倒的に多いのがうつ病です。うつ病は誰でも発症する可能性がある病気であり、服薬治療を続けていても長期間治らなかったり、再発しやすいと言われております。

うつ病で仕事ができなくなったり、仕事ができても制限がある方であれば障害年金を受給できる可能性があります。


  1. うつ病で障害年金を受給するためには「初診日」が重要
  2. うつ病で障害年金がもらえる程度とは~「障害認定基準」
  3. うつ病の診断書と日常生活能力について
  4. 社労士に依頼して障害年金が受給できた事例
  5. 手続き方法について
  6. 請求(申請)をする時に気を付けること
  7. うつ病を治療しながら働いている場合の障害年金
  8. 診断書作成を断られた場合や実際の症状よりも軽く書かれた場合

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うつ病で障害年金を受給するためには「初診日」が重要

まず、うつ病の症状が出てから最初に行った病院はどこだったか、その病院に初めて行った日はいつだったのかを突き止めることが重要です。症状が出て初めて病院に行った日を障害年金では「初診日」と言います。

うつ病の方は、最初の病院ではうつ病という診断はされずに「不安神経症」や「不眠症」という診断をされる場合がありますが、うつ病と診断されていなくとも前駆症状で病院に行ったのであればそこが初診日となります。

初診日が確定できたら、①初診日の要件と②保険料納付要件を確認します。うつ病で障害年金を受給するためにはいくつかの条件があり、それを全て満たさなければなりません。

① 初診日の要件とは、うつ病の初診日において国民年金か厚生年金の被保険者であること。

② 保険料納付要件とは、初診日の前日において年金保険料を一定期間以上納付していること。

具体的には、初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までの被保険者期間についての保険料納付済期間と免除期間を合算した期間が加入期間の3分の2以上納められていること。または、初診日の属する月の前々月までの直近1年間に滞納期間がないこと。※20歳前に初診日があるうつ病の場合には、保険料納付要件は問われません。

①初診日の要件と②保険料納付要件の両方を満たした上で、うつ病の障害状態が障害年金を受給できる程度かどうかを判断していきます。ですので、どんなにうつ病の症状が重く寝たきりの状態なったとしても、①初診日の要件と②保険料納付要件を満たさなければ、うつ病で障害年金を受給することはできません。

また、初診日がいつで、どこの病院に行っていたかどうかは、「受診状況等証明書」という書類で証明しなければなりません。

うつ病で障害年金がもらえる程度とは~「障害認定基準」

うつ病がどの程度の症状であれば障害年金が受給できるかどうかを定めた基準があり、それを「障害認定基準」と言います。

うつ病の認定基準は以下の通りです。

1級の認定基準

高度の気分、意欲・行動の障害及び高度の思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり、ひんぱんに繰り返したりするため、常時の援助が必要なもの

2級の認定基準

気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり又はひんぱんに繰り返したりするため、日常生活が著しい制限を受けるもの

3級の認定基準

気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、その病状は著しくないが、これが持続したり又は繰り返し、労働が制限を受けるもの

1級から3級までありますが、初診日に国民年金に加入していた方は1級か2級で、3級はありません。3級を受給できるのは、初診日に厚生年金に加入していた方が対象となります。

また、うつ病で障害年金を受給できるかどうかは以下の点も考慮されます。

うつ病は、本来、症状の著明な時期と症状の消失する時期を繰り返すものである。したがって、現症のみによって認定することは不十分であり、症状の経過及びそれによる日常生活活動等の状態を十分考慮する。

うつ病と統合失調症等のその他の精神疾患が併存しているときは、併合(加重)認定の取り扱いは行わず、諸症状を総合的に判断して認定する。

日常生活能力等の判定に当たっては、身体的機能及び精神的機能を考慮の上、社会的な適応性の程度によって判断するよう努める。また、現に仕事に従事している者については、労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認したうえで日常生活能力を判断すること。

人格障害は、原則として認定の対象とならない。

神経症にあっては、その症状が長期間持続し、一見重症なものであっても、原則として、認定の対象とならない。ただし、その臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものについては、統合失調症又は気分(感情)障害に準じて取り扱う。なお、認定に当たっては、精神病の病態がICD-10による病態区分のどの区分に属す病態であるかを考慮し判断すること。

※上記に記載のとおり、神経症(不安神経症、パニック障害、適応障害、強迫性障害など)や人格障害(境界性人格障害、パーソナリティー障害など)は、原則的には障害年金が受給できない病名となります。

→しかし神経症や人格障害の病名であっても障害年金を受給できるケースはあります。

うつ病の診断書と日常生活能力について

うつ病で障害年金の請求(申請)をする場合には、精神の障害用診断書(様式第120号の4)を使用します。そして、うつ病の症状がどの程度かどうかは日常生活能力によって審査され、等級が決められます。

その等級を公平に判定するために平成28年(2016年)9月より「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」の運用が始まりました。この「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」には、うつ病の診断書に記載される「日常生活能力の判定」と「日常生活能力の程度」に応じた等級の目安が定められています。

【 日常生活能力の判定 】とは

「日常生活能力の判定」とは、日常生活の7つの場面における制限度合を、それぞれ具体的に評価するものです。

日常生活の7つの場面

適切な食事

配膳などの準備も含めて適当量をバランスよく摂ることがほぼできるなど。

身辺の清潔保持

洗面、洗髪、入浴等の身体の衛生保持や着替え等ができる。また、自室の清掃や片付けができるなど。

金銭管理と買い物

金銭を独力で適切に管理し、やりくりがほぼできる。また、一人で買い物が可能であり、計画的な買い物がほぼできるなど。

通院と服薬

規則的に通院や服薬を行い、病状等を主治医に伝えることができるなど。

他人との意思伝達お及び対人関係

他人の話を聞く、自分の意思を相手に伝える、集団的行動が行えるなど。

身辺の安全保持及び危機対応

事故等の危険から身を守る能力がある、通常と異なる事態になった時に他人に援助を求めるなどを含めて、適正に対応することができるなど。

社会性

銀行での金銭の出し入れや公共施設等の利用が一人で可能。また、社会生活に必要な手続きが行えるなど。

日常生活の制限度合の判定

日常生活の7つの場面における制限度合を、次の4段階で判定します。
※ご家族に援助してもらっている方は、一人暮らしだと仮定して判断します。

① できる
② 自発的に(おおむね)できるが時には助言や指導を必要とする
③(自発的かつ適正におこなうことはできないが)助言や指導があればできる
④ 助言や指導をしてもできない若しくは行わない

【 日常生活能力の程度 】とは

「日常生活能力の程度」とは、「日常生活能力の判定」の7つの場面も含めた日常生活全般における制限度合を包括的に評価するものです。

① 精神障害(病的体験・残遺症状・認知障害・性格変化等)を認めるが、社会生活は普通にできる。
② 精神障害を認め、家庭内での日常生活は普通にできるが、社会生活には援助が必要である。(たとえば、日常的な家事をこなすことはできるが、状況や手順が変化したりすると困難を生じることがある。社会行動や自発的な行動が適切に出来ないこともある。金銭管理はおおむねできる場合など。)
③ 精神障害を認め、家庭内での単純な日常生活はできるが、時に応じて援助が必要である。(たとえば、習慣化した外出はできるが、家事をこなすために助言や指導を必要とする。社会的な対人交流は乏しく、自発的な行動に困難がある。金銭管理が困難な場合など。)
④ 精神障害を認め、日常生活における身のまわりのことも、多くの援助が必要である。(たとえば、著しく適性を欠く行動が見受けられる。自発的な発言が少ない、あっても発言内容が不適切であったり不明瞭であったりする。金銭管理ができない場合など。)
⑤ 精神障害を認め、身のまわりのこともほとんどできないため、常時の援助が必要である。(たとえば、家庭内生活においても、食事や身のまわりのことを自発的にすることができない。また、在宅の場合に通院等の外出には、付き添いが必要な場合など。)

等級判定ガイドラインでは、「日常生活能力の判定」の平均値と「日常生活能力の程度」の評価によって認定される等級の目安が示されています。

障害等級の目安

  • 「判定平均」は、「日常生活能力の判定」の4段階評価について、程度の軽いほうから1~4の数値に置き換え、その平均を算出します。
  • 障害基礎年金の場合は、3級は2級非該当と置き換えます。

等級判定ガイドラインで注意すべきポイント

「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」の障害等級の目安はあくまでも参考であり、診断書等に記載される他の要素も含めて総合的に認定されます。必ずしも目安の等級で認定されるわけではなく総合的に評価されるため、目安と異なる認定結果となることがあります。

うつ病の総合評価で考慮されるポイントは以下の5つになります。

現在の病状又は状態像

現在の症状だけでなく、症状の経過(病相期間、頻度、発病時からの状況、最近1年程度の症状の変動状況など)及びそれによる日常生活活動等の状態や予後の見通し

療養状況

・通院の状況(頻度、治療内容など)を考慮する。薬物治療を行っている場合は、その目的や内容(種類・量(記載があれば血中濃度)・期間)
・入院時の状況(入院期間、院内での病状の経過、入院の理由など)
・在宅での療養状況

生活環境

・家庭等の日常生活上の援助や福祉サービスの有無
・入所施設やグループホーム、日常生活上の援助を行える家族との同居など、支援が常態化した環境下では日常生活が安定している場合でも、単身で生活するとしたときに必要となる支援の状況
・独居の場合、その理由や独居になった時期

就労状況

・仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況などを十分確認したうえでの日常生活能力
・援助や配慮が常態化した環境下では安定した就労ができている場合、その援助や配慮がない場合に予想される状態
・相当程度の援助を受けて就労している場合

その他

・「日常生活能力の判定」の平均が低い場合であっても、うつ病の特性に応じて特定の項目に著しく偏りがあり、日常生活に大きな支障が生じていると考えられる場合は、その状況

20歳前にうつ病の初診日がある場合の注意点について

障害年金を受給するには初診日の特定が重要で、その中でも二十歳より前に初診日がある場合を「二十歳前傷病(はたちまえしょうびょう)」と呼び、保険料納付要件は問われません。本人が保険料を納付していないことから、それ以外の障害年金とは異なり所得制限が設けられています。前年の所得によって障害基礎年金の全額もしくは2分の1が支給停止され、毎年所得の確認が行われます。

また、この所得には、就労で得た所得以外にも、不動産収入や株式の売買益、遺産相続で得た所得等も含まれますので、一時的に所得が多くなった場合には注意が必要です。

※世帯人数が増加した場合、扶養親族1人につき所得制限額が38万円加算されます。

※対象となる扶養親族が老人控除対象配偶者または老人扶養親族であるときは、1人につき48万円加算。特定扶養親族等であるときは1人につき63万円加算となります。

うつ病で障害年金が受給できた事例

うつ病の障害年金を受給する手続き方法について

うつ病で障害年金を請求(申請)する場合の流れは、以下のとおりです。

1. 初診日の確定

初診日を確定することは、うつ病の障害年金請求(申請)で最も重要です。今通院している病院が初めてかかったところでしたら問題ありませんが、それ以前に転院などをしている場合には、その一番初めにかかった医療機関を特定することから始めます。

  • うつ病の診断名がついた病院が初診日に通院していた病院になるわけではありません。
  • あくまでも、「うつ病の症状(前駆症状含む)で初めて病院に行った日」です。
  • 不眠や抑うつ等で内科を受診した場合、内科が初診日となる場合があります。

2. 保険料納付要件の確認

① 初診日が確定したら、まずは請求する障害年金制度の種類が確定します。初診日に厚生年金の加入者でしたら障害厚生年金、国民年金の加入者や主婦など配偶者であれば障害基礎年金になります。

② 初診日の前日の時点で、2か月前から1年間遡って保険料の未納・滞納がないかを確認します。直近1年間で1か月も未納・滞納がなければ納付要件はクリアになりますが、1か月でも滞納がある時は、20歳からこれまでの加入記録全部を確認して、3分の2以上納めていればOKです。

3. 受診状況等証明書の取得

初診日の証明書を取得します。既にカルテが破棄されていて受診状況等証明書が取得できない場合には、様々な方法により初診日の証明をしていきます。

4. 診断書の取得

初診日が確定したら、そこから1年6か月経過後の「障害認定日」が決まります。この時点での病状をその当時の医師に診断書を書いてもらいます。どれだけ医師から協力を引き出せるかが重要になります。

※「障害認定日」に障害状態でない場合には、現在の病状を記載した診断書が必要になります。⇒ 事後重症請求

※「障害認定日」に障害状態で1年以上経過している場合は、障害認定日と現在の診断書の2枚が必要になります。⇒ 遡及請求

5. 病歴・就労状況等申立書の作成

診断書は医師が内容を記入するのに対して、病歴・就労状況等申立書はご本人が唯一、ご自身の状況を説明して提出できる書類になります。うつ病のご本人が請求する際には、細かく困っていることを訴えて書いている人も少なくありませんが、審査する側が端的に分かるように要点を押さえて、過不足なく書くことが重要です。

6. 各種提出書類の収集および請求書等の作成

7. 年金事務所または市区町村役場へ提出

うつ病で障害年金の請求(申請)をする時に気を付けること

うつ病で障害年金の請求(申請)をする時に気を付ける点がいくつかあります。

うつ病を治療しながら働いている場合の障害年金

うつ病の治療をしながら障害者雇用枠でフルタイム就労をしていたり、パートタイムで働いていたりする場合は障害年金を受給できないのか?というご質問はとても多いです。うつ病の障害認定基準や等級判定ガイドラインには、就労していたら障害年金を受給することはできないという記載はありません。しかし、診断書を見る限りは障害等級に該当しているにも関わらず、働けているという事実のみによって不支給(障害年金がもらえない)になったり、不利な等級で認定されたりすることはとても多いのが現状です。「働くことができる」=「うつ病の症状が軽い」と判断されるのです。

うつ病の方が働いている場合、例えば残業はしないという条件や他人とのコミュニケーションが極力少ない業務に従事するというように配慮を受けていることがありますので、職場での配慮や仕事上の支障があればそれを診断書や病歴・就労状況等申立書に反映させることが重要です。

ちなみにうつ病の方が障害厚生年金3級を受給しながら働いているということは意外と多いのです。

診断書作成を断られた場合や実際の症状よりも軽く書かれた場合

うつ病で障害年金を受給するために最も重要なのが、医師に診断書を作成していただくことです。しかし、医師によっては「あなたのうつ病は軽いので障害年金はもらえないから診断書を書かない」と診断書の作成を拒否されたり、出来上がった診断書は自分の症状よりもはるかに軽い症状の記載だったりすることがあります。

診断書の作成を医師に断られた場合は、考えられる理由として、その医師が障害年金制度やうつ病の障害認定基準を理解されていないということが多いので、無理に診断書作成を依頼するのではなく、うつ病で障害年金が受給できることをご説明し、ご理解いただけた上で初めて診断書作成を依頼するのがスムーズです。あくまでも「障害年金の受給ありき」ではなく、自分のうつ病の症状は障害年金の基準に該当している可能性があるからというスタンスだと主治医との関係を悪化させることはありません。

また、出来上がった診断書の内容が自分の症状よりもはるかに軽い症状だった場合には、日常生活能力についてしっかりと医師に伝えきれていないことが考えられますので、無理に診断書の修正を依頼するのではなく、日常生活はどのように送っているのか、どのようなことを誰に援助してもらっているのか、というようなことを具体的にお伝えするようにしましょう。

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