1. 発達障害で障害年金を受給するためには「初診日」が重要
  2. 発達障害で障害年金がもらえる程度とは~「障害認定基準」
  3. 発達障害の診断書と日常生活能力について
  4. 発達障害の障害年金を受給する手続き方法について
  5. 発達障害で障害年金の請求(申請)をする時に気を付けること

うつ病・精神障害専用 受給判定・相談フォーム

うつ病・精神障害の方にあわせた専用フォームより、専門家による無料受給判定と障害年金申請代行についてのご相談を承っております。

フォーム画面へ


発達障害は、ご本人がつらい思いを抱えて病院に行ってもなかなか診断に結びつきにくい病気でした。しかし社会人になり、職場に馴染めなかったり仕事が安定しなかったりし、病院に行って初めて発達障害と診断される方が増えております。発達障害で日常生活や労働に支障がある方は障害年金を受給できる可能性があります。

発達障害で障害年金を受給するためには「初診日」が重要

まず、発達障害の症状が出てから最初に行った病院はどこだったか、その病院に初めて行った日はいつだったのかを突き止めることが重要です。症状が出て初めて病院に行った日を障害年金では「初診日」と言います。

発達障害の方は、発達障害特有の症状の他に抑うつや不安の症状もある方が多く、最初の病院では発達障害という診断はされずに「うつ病」や「不安神経症」という診断をされる場合がありますが、発達障害と診断されていなくとも何かしらの精神症状で病院に行ったのであればそこが初診日となります。

初診日が確定できたら、①初診日の要件と②保険料納付要件を確認します。発達障害で障害年金を受給するためにはいくつかの条件があり、それを全て満たさなければなりません。

① 初診日の要件とは、発達障害の初診日において国民年金か厚生年金の被保険者であること。
② 保険料納付要件とは、初診日の前日において年金保険料を一定期間以上納付していること。

具体的には、初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までの被保険者期間についての保険料納付済期間と免除期間を合算した期間が加入期間の3分の2以上納められていること。または、初診日の属する月の前々月までの直近1年間に滞納期間がないこと。※20歳前に初診日がある発達障害の場合には、保険料納付要件は問われません。

①初診日の要件と②保険料納付要件の両方を満たした上で、発達障害の障害状態が障害年金を受給できる程度かどうかを判断していきます。ですので、どんなに発達障害の症状が重く寝たきりの状態なったとしても、①初診日の要件と②保険料納付要件を満たさなければ、発達障害で障害年金を受給することはできません。

また、初診日がいつで、どこの病院に行っていたかどうかは、「受診状況等証明書」という書類で証明しなければなりません。

発達障害で障害年金がもらえる程度とは~「障害認定基準」

発達障害がどの程度の症状であれば障害年金が受給できるかどうかを定めた基準があり、それを「障害認定基準」と言います。

【発達障害とは】…自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発症するもの。

発達障害の認定基準は以下の通りです。

1級の認定基準

発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が欠如しており、かつ、著しく不適応な行動がみられるため、日常生活への適応が困難で常時援助を必要とするもの

2級の認定基準

発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が乏しく、かつ、不適応な行動がみられるため、日常生活への適応にあたって援助が必要なもの

3級の認定基準

発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が不十分で、かつ、社会行動に問題がみられるため、労働に著しい制限を受けるもの

1級から3級までありますが、初診日に国民年金に加入していた方は1級か2級で、3級はありません。3級を受給できるのは、初診日に厚生年金に加入していた方が対象となります。

また、発達障害で障害年金を受給できるかどうかは以下の点も考慮されます。

発達障害については、たとえ知能指数が高くても社会行動やコミュニケーション能力の障害により対人関係や意思疎通を円滑に行うことができないために日常生活に著しい制限を受けることに着目して認定を行う。

発達障害とその他認定の対象となる精神疾患が併存しているときは、併合(加重)認定の取扱いは行わず、諸症状を総合的に判断して認定する。

発達障害は、通常低年齢で発症する疾患であるが、知的障害を伴わない者が発達障害の症状により、初めて受診した日が20歳以降であった場合は、当該受診日を初診日とする。

日常生活能力等の判定に当たっては、身体的機能及び精神的機能を考慮の上、社会的な適応性の程度によって判断するよう努める。

就労支援施設や小規模作業所などに参加する者に限らず、雇用契約により一般就労をしている者であっても、援助や配慮のもとで労働に従事している。したがって、労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、現に労働に従事している者については、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認したうえで日常生活能力を判断すること。

発達障害の診断書と日常生活能力について

発達障害で障害年金の請求(申請)をする場合には、精神の障害用診断書(様式第120号の4)を使用します。そして、発達障害の症状がどの程度かどうかは日常生活能力によって審査され、等級が決められます。

その等級を公平に判定するために平成28年(2016年)9月より「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」の運用が始まりました。この「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」には、発達障害の診断書に記載される「日常生活能力の判定」と「日常生活能力の程度」に応じた等級の目安が定められています。

【 日常生活能力の判定 】とは

「日常生活能力の判定」とは、日常生活の7つの場面における制限度合を、それぞれ具体的に評価するものです。

日常生活の7つの場面

適切な食事

配膳などの準備も含めて適当量をバランスよく摂ることがほぼできるなど。

身辺の清潔保持

洗面、洗髪、入浴等の身体の衛生保持や着替え等ができる。また、自室の清掃や片付けができるなど。

金銭管理と買い物

金銭を独力で適切に管理し、やりくりがほぼできる。また、一人で買い物が可能であり、計画的な買い物がほぼできるなど。

通院と服薬

規則的に通院や服薬を行い、病状等を主治医に伝えることができるなど。

他人との意思伝達お及び対人関係

他人の話を聞く、自分の意思を相手に伝える、集団的行動が行えるなど。

身辺の安全保持及び危機対応

事故等の危険から身を守る能力がある、通常と異なる事態になった時に他人に援助を求めるなどを含めて、適正に対応することができるなど。

社会性

銀行での金銭の出し入れや公共施設等の利用が一人で可能。また、社会生活に必要な手続きが行えるなど。

日常生活の7つの場面における制限度合を、次の4段階で判定します。※ご家族に援助してもらっている方は、一人暮らしだと仮定して判断します。

① できる
② 自発的に(おおむね)できるが時には助言や指導を必要とする
③(自発的かつ適正におこなうことはできないが)助言や指導があればできる
④ 助言や指導をしてもできない若しくは行わない

【 日常生活能力の程度 】とは

「日常生活能力の程度」とは、「日常生活能力の判定」の7つの場面も含めた日常生活全般における制限度合を包括的に評価するものです。

① 精神障害(病的体験・残遺症状・認知障害・性格変化等)を認めるが、社会生活は普通にできる。

② 精神障害を認め、家庭内での日常生活は普通にできるが、社会生活には援助が必要である。(たとえば、日常的な家事をこなすことはできるが、状況や手順が変化したりすると困難を生じることがある。社会行動や自発的な行動が適切に出来ないこともある。金銭管理はおおむねできる場合など。)

③ 精神障害を認め、家庭内での単純な日常生活はできるが、時に応じて援助が必要である。(たとえば、習慣化した外出はできるが、家事をこなすために助言や指導を必要とする。社会的な対人交流は乏しく、自発的な行動に困難がある。金銭管理が困難な場合など。)

④ 精神障害を認め、日常生活における身のまわりのことも、多くの援助が必要である。(たとえば、著しく適性を欠く行動が見受けられる。自発的な発言が少ない、あっても発言内容が不適切であったり不明瞭であったりする。金銭管理ができない場合など。)

⑤ 精神障害を認め、身のまわりのこともほとんどできないため、常時の援助が必要である。(たとえば、家庭内生活においても、食事や身のまわりのことを自発的にすることができない。また、在宅の場合に通院等の外出には、付き添いが必要な場合など。)

等級判定ガイドラインでは、「日常生活能力の判定」の平均値と「日常生活能力の程度」の評価によって認定される等級の目安が示されています。

障害等級の目安

・「判定平均」は、「日常生活能力の判定」の4段階評価について、程度の軽いほうから1~4の数値に置き換え、その平均を算出します。

・障害基礎年金の場合は、3級は2級非該当と置き換えます。

等級判定ガイドラインで注意すべきポイント

「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」の障害等級の目安はあくまでも参考であり、診断書等に記載される他の要素も含めて総合的に認定されます。必ずしも目安の等級で認定されるわけではなく総合的に評価されるため、目安と異なる認定結果となることがあります。

発達障害の総合評価で考慮されるポイントは以下の5つになります。

現在の病状又は状態像

・知能指数が高くても日常生活能力が低い(特に対人関係や意思疎通を円滑に行うことができない)場合はそれを考慮

・不適応行動を伴う場合、診断書に具体的記載があればそれを考慮

・臭気、光、音、気温などの感覚過敏があり、日常生活に制限が認められれば、それを考慮

療養状況

・通院の状況(頻度、治療内容など)を考慮する。薬物治療を行っている場合は、その目的や内容(種類・量(記載があれば血中濃度)・期間)

・著しい不適応行動を伴う場合や精神疾患が併存している場合は、その療養状況

生活環境

・家庭等の日常生活上の援助や福祉サービスの有無

・入所施設やグループホーム、日常生活上の援助を行える家族との同居など、支援が常態化した環境下では日常生活が安定している場合でも、単身で生活するとしたときに必要となる支援の状況

・独居の場合、その理由や独居になった時期

・在宅での援助の状況

・施設入所の有無、入所時の状況

就労状況

・仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況などを十分確認したうえでの日常生活能力

・援助や配慮が常態化した環境下では安定した就労ができている場合、その援助や配慮がない場合に予想される状態

・相当程度の援助を受けて就労している場合

・仕事の内容がもっぱら単純作業かつ反復的な業務である場合

その他

・「日常生活能力の判定」の平均が低い場合であっても、発達障害の特性に応じて特定の項目に著しく偏りがあり、日常生活に大きな支障が生じていると考えられる場合は、その状況
・発育・養育歴・教育歴・専門機関による発達支援、発達障害自立訓練等の支援など

発達障害の障害年金を受給する手続き方法について

発達障害で障害年金を請求(申請)する場合の流れは、以下のとおりです。

1. 初診日の確定

初診日を確定することは、発達障害の障害年金請求(申請)で最も重要です。今通院している病院が初めてかかったところでしたら問題ありませんが、それ以前に転院などをしている場合には、その一番初めにかかった医療機関を特定することから始めます。

ポイント

・発達障害の診断名がついた病院が初診日に通院していた病院になるわけではありません。

・あくまでも、「発達障害の症状(併存する症状含む)で初めて病院に行った日」です。

2. 保険料納付要件の確認

① 初診日が確定したら、まずは請求する障害年金制度の種類が確定します。初診日に厚生年金の加入者でしたら障害厚生年金、国民年金の加入者や主婦など配偶者であれば障害基礎年金になります。

② 初診日の前日の時点で、2か月前から1年間遡って保険料の未納・滞納がないかを確認します。直近1年間で1か月も未納・滞納がなければ納付要件はクリアになりますが、1か月でも滞納がある時は、20歳からこれまでの加入記録全部を確認して、3分の2以上納めていればOKです。

3. 受診状況等証明書の取得

初診日の証明書を取得します。既にカルテが破棄されていて受診状況等証明書が取得できない場合には、様々な方法により初診日の証明をしていきます。

4. 診断書の取得

初診日が確定したら、そこから1年6か月経過後の「障害認定日」が決まります。この時点での病状をその当時の医師に診断書を書いてもらいます。どれだけ医師から協力を引き出せるかが重要になります。

※「障害認定日」に障害状態でない場合には、現在の病状を記載した診断書が必要になります。⇒ 事後重症請求

※「障害認定日」に障害状態で1年以上経過している場合は、障害認定日と現在の診断書の2枚が必要になります。⇒ 遡及請求

5. 病歴・就労状況等申立書の作成

診断書は医師が内容を記入するのに対して、病歴・就労状況等申立書はご本人が唯一、ご自身の状況を説明して提出できる書類になります。発達障害のご本人が請求する際には、細かく困っていることを訴えて書いている人も少なくありませんが、審査する側が端的に分かるように要点を押さえて、過不足なく書くことが重要です。

6. 各種提出書類の収集および請求書等の作成

7. 年金事務所または市区町村役場へ提出

発達障害で障害年金の請求(申請)をする時に気を付けること

発達障害で障害年金の請求(申請)をする時に気を付ける点がいくつかあります。

発達障害の病歴・就労状況等申立書

発達障害で障害年金の請求(申請)をする場合の病歴・就労状況等申立書は、出生時から現在までを記載していきます。

病歴・就労状況等申立書の書き方

  • 医療機関を受診している期間は、医療機関ごとに枠を区切ります。
  • 同一の医療機関を受診している期間または医療機関を受診していない期間が長期に渡る場合には、3~5年ごとに枠を区切ります。
  • 幼稚園や学校で困ったことや先生に指摘されたこと等、エピソードがあれば記載すると望ましいです。
  • 日常生活の支障や援助、労働の支障や配慮等も詳しく記載します。
  • 医療機関を受診していない期間は、その理由等を記載します。

・障害認定基準に記載されている審査の対象となる事項に基づいて記載することが大切です。

・経済的に困っていることや気持ち(感情:つらい、苦しい等)を記載しても審査の対象とはなりません。

・診断書が出来上がったら診断書の内容と病歴・就労状況等申立書の内容に相違がないか確認し、整合性を取ることが大切です。

発達障害を治療しながら働いている場合の障害年金

発達障害の治療を受けながら障害者雇用枠でフルタイム就労をしていたり、パートタイムで働いていたりする場合は障害年金を受給できないのか?というご質問はとても多いです。発達障害の障害認定基準や等級判定ガイドラインには、就労していたら障害年金を受給することはできないという記載はありません。しかし、診断書を見る限りは障害等級に該当しているにも関わらず、働けているという事実のみによって不支給(障害年金がもらえない)になったり、不利な等級で認定されたりすることはとても多いのが現状です。「働くことができる」=「発達障害の症状が軽い」と判断されるのです。

発達障害の方が働いている場合、他人とのコミュニケーションが少ない単純作業に従事するというように配慮を受けていることがありますので、職場での配慮や仕事上の支障があればそれを診断書や病歴・就労状況等申立書に反映させることが重要です。

ちなみに発達障害の方が障害厚生年金3級を受給しながら働いていることは多いですし、障害年金をもらいながら無理のない就労を続けるということは望ましい姿です。

診断書作成を断られた場合や実際の症状よりも軽く書かれた場合

発達障害で障害年金を受給するために最も重要なのが、医師に診断書を作成していただくことです。しかし、医師によっては「あなたの発達障害の症状では障害年金はもらえないから診断書を書かない」と診断書の作成を拒否されたり、出来上がった診断書は自分の症状よりもはるかに軽い症状の記載だったりすることがあります。

診断書の作成を医師に断られた場合は、考えられる理由として、その医師が障害年金制度や発達障害の障害認定基準を理解されていないということが多いので、無理に診断書作成を依頼するのではなく、発達障害で障害年金が受給できることをご説明し、ご理解いただけた上で初めて診断書作成を依頼するのがスムーズです。あくまでも「障害年金の受給ありき」ではなく、自分の発達障害の症状は障害年金の基準に該当している可能性があるからというスタンスだと主治医との関係を悪化させることはありません。

また、出来上がった診断書の内容が自分の症状よりもはるかに軽い症状だった場合には、日常生活能力についてしっかりと医師に伝えきれていないことが考えられますので、無理に診断書の修正を依頼するのではなく、日常生活はどのように送っているのか、どのようなことを誰に援助してもらっているのか、というようなことを具体的にお伝えするようにしましょう。

うつ病・精神障害専用 受給判定・相談フォーム

うつ病・精神障害の方にあわせた専用フォームより、専門家による無料受給判定と障害年金申請代行についてのご相談を承っております。

フォーム画面へ