腎疾患で障害年金を受給する方のほとんどが慢性腎不全での認定です。糖尿病性腎症、ネフローゼ症候群、糸球体腎炎などにより人工透析をしている方は障害年金の2級に認定されます。人工透析をしている事実があれば障害年金が受給できる基準に該当しますので、ご自分で障害年金の請求(申請)をされる方も多いです。しかし、人工透析の方が気を付けなければならないポイントがありますので、しっかりとご説明いたします。


  1. 人工透析で障害年金を受給するときの大きな壁は「初診日」
  2. 人工透析での障害年金請求(申請)は1ヶ月でも早くすること
  3. 人工透析で障害年金が受給できた事例
  4. 腎疾患で障害年金がもらえる程度とは~「障害認定基準」
  5. 人工透析に関するよくある質問
  6. 人工透析を受けている方が障害年金を受給する手続きについて

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人工透析で障害年金を受給するときの大きな壁は「初診日」

慢性腎不全は緩やかに症状が進行して、人工透析を始めるまでに20年以上の病歴があるという方は少なくありません。人工透析(腎不全)で障害年金を受給しようと準備を進めていき、まず初めにぶつかる壁があります。それは、障害年金で最も重要な「初診日の証明」です。なぜ人工透析での大きな壁が「初診日」なのかを見ていきましょう。

どこの病院を初診とするべきなのか判断できない

人工透析をするようになった方は、以下のような自覚症状で初めて病院に行くことが多いのではないでしょうか。

  • 疲れやすくなった、毎日倦怠感がある
  • 足の浮腫みが気になった
  • 以前よりも喉が渇くようになった 等

このような症状で病院に行き、その時はまだ症状が軽く治療の必要はなく、食事に気を付ける等の指導のみで通院の必要はないということがあります。また、最初から腎疾患専門の病院を受診するということよりも、近所の内科などに行くという場合が多いと思います。

そうすると、特に通院して治療を受けていない内科の病院を初診とするべきか、その後きちんと慢性腎不全と診断されて治療を開始した病院を初診とするべきか迷うことがあります。

障害年金の請求(申請)で初診日というのは、「診断名がつかなくても」「治療をしなくても」「診療科は問わず」、人工透析(腎不全)の症状で病院に行った日です。まずは、症状が出てどこの病院にいつ行ったかを丁寧に整理していくことから始めましょう。

初診日に通院していた病院のカルテが破棄されている

病歴が長い人工透析中の方が、腎不全の初期症状で初めて受診した病院に初診日の証明書(受診状況等証明書と言います)を依頼し、「すでにカルテは破棄しているので受診状況等証明書は書けません」と言われてしまうことがあります。また、病院そのものが廃院している場合もあります。

受診状況等証明書はカルテに基づいて作成をしなければなりませんので、カルテが破棄されていたり病院がなくなっていれば、当然に受診状況等証明書を手に入れることはできなくなるのです。

このように受診状況等証明書が取得できない場合には、以下のことができないか検討します。

人工透析(腎不全)の症状で病院に行ったことを友人や同僚に話したことがないか。もし話していた場合には覚えていることを証明してもらう→「初診日に関する第三者からの申立書(第三者証明)」

初診日に受診したことがわかるおくすり手帳、診察券、病院の受診簿、病院の領収書、レセプト(診療報酬明細書)、紹介状(診療情報提供書)等の書類が残っているか確認する

どんな些細な情報であっても、それが初診日の証明に一役買ってくれる可能性がありますので、絶対に諦めないことが大切です。

健康診断日は原則として初診日とはならない

人工透析を受けている方は、健康診断で尿蛋白の数値等を指摘されて初めて腎疾患に気づくということがあります。健康診断は通常は病院で受けますので、健康診断を受けて腎疾患に気付いたのであれば健康診断を受けた日を初診日として認められないのかと疑問に思うかもしれません。

しかし、「初診日は、原則として初めて治療目的で医療機関を受診した日とし、健康診断を受けた日は初診日として取り扱わない」とされています。

例外として以下を満たしていれば、健康診断日を初診日と認定されることがあります。

① 初めて治療目的で病院に行った日の受診状況等証明書が取れない場合かつ
② 医学的見地からただちに治療が必要と認められる健診結果である場合

初診日に関する調査票を忘れずに

腎臓の疾患である腎不全で人工透析を受けている方は、初診日に関する調査票(腎臓・膀胱の病気用)の提出が必要となります。年金事務所で「初診日のアンケートも提出してください」を言われることがありますが、これは単に「アンケート」ではありませんので軽い気持ちで書くことがないようにしましょう。

アンケートで答える内容

  • 身体の不調・むくみ等を自覚されたのはいつ頃ですか?またそのときはどのような状態でしたか?
  • 健康診断等で尿に蛋白が出ていることを指摘されたことはありますか?
  • 健康診断の結果ですぐに医療機関を受診しましたか?

このアンケートの意図としては、「人工透析(腎不全)の初診日は本当に本人が主張している初診日で間違いはないのか、別に初診日があるのではないか」を審査するためです。診断書、病歴・就労状況等申立書、受診状況等証明書の全ての提出書類と整合性を取って、内容に食い違いが生じないように書くことがポイントです。

人工透析での障害年金請求(申請)は1ヶ月でも早くすること

慢性腎不全で人工透析をすることになる方は、徐々に症状が悪化して人工透析になることが多いです。人工透析を始めてから障害年金の請求(申請)をしますので、事後重症の請求をすることがほとんどになります。

事後重症請求とは

障害認定日にはまだ症状が軽く障害年金がもらえる障害の程度ではないが、その後症状が悪化し、障害年金がもらえる障害の程度になった時にする請求方法。

事後重症での請求の場合、障害年金の請求(申請)をした月の翌月から障害年金の支給が始まります。ということは、障害年金の請求(申請)が1ヶ月遅れると本来もらえるはずだった障害年金が1ヶ月ずつ減ってしまいますので、出来る限りスピーディーに準備をし、1か月でも早く書類を提出するよう心掛けてください。

人工透析は障害認定日の特例があります

腎不全の症状で初めて病院に行き、比較的早く人工透析を受けなければならないというケースもあります。その場合は事後重症請求ではなく、本来の障害認定日請求をすることになりますが、人工透析中の方には特例があります

原則として障害認定日は初診日から1年6か月を経過した日ですが、人工透析を初めて受けた日から3か月経過した日が障害認定日となるのです。(ただし、初診日から1年6か月以内に限ります。)

障害認定日の特例が使えるケース

事後重症のケース

人工透析で障害年金が受給できた事例

腎疾患で障害年金がもらえる程度とは~「障害認定基準」

人工透析を受けている方は2級に認定されますが、人工透析を受けていない腎疾患の方も障害年金がもらえる基準に該当していれば障害年金がもらえます。それらの基準を定めたものが「障害認定基準」です。

1級から3級の基準を大きく分けると次のようになっています。

1級の認定基準

身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの

2級の認定基準

身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの

3級の認定基準

身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの

1級から3級までありますが、初診日に国民年金に加入していた方は1級か2級で、3級はありません。3級を受給できるのは、初診日に厚生年金に加入していた方が対象となります。

具体的な検査数値等を使った基準は以下のとおりです。

1級の認定基準(詳細)

【慢性腎不全】

検査成績が以下1つ以上に該当かつ一般状態区分表のオに該当
・内因性クレアチニンクリアランスが10ml/分未満
・血清クレアチニンが8mg/dl以上

2級の認定基準(詳細)

【慢性腎不全】

1. 検査成績が以下1つ以上に該当かつ一般状態区分表のエ又はウに該当
・内因性クレアチニンクリアランスが20ml/分未満
・血清クレアチニンが5mg/dl以上

2. 人工透析療法施行中のもの

3級の認定基準(詳細)

【慢性腎不全】

1. 検査成績が以下1つ以上に該当かつ一般状態区分表のウ又はイに該当
・内因性クレアチニンクリアランスが30ml/分未満
・血清クレアチニンが3mg/dl以上

【ネフローゼ症候群】

2. 尿蛋白量(1日尿蛋白量又は尿蛋白/尿クレアチニン比)が3.5以上(g/日又はg/gCr)かつ以下いずれかに該当

・血清アルブミン(BCG法)が3.0g/dl以下
・血清総蛋白が6.0g/dl以下

かつ一般状態区分表のウ又はイに該当

一般状態区分表

人工透析を受けている方など腎疾患で障害年金を受給できるかどうかは以下の点も考慮されます。

腎疾患による障害の認定の対象はそのほとんどが、慢性腎不全に対する認定である。慢性腎不全とは、慢性腎疾患によって腎機能障害が持続的に徐々に進行し、生体が正常に維持できなくなった状態をいう。すべての腎疾患は、長期に経過すれば腎不全に至る可能性がある。腎疾患で最も多いものは、糖尿病性腎症、慢性腎炎(ネフローゼ症候群を含む。)、腎硬化症であるが、他にも、多発性嚢胞腎、急性進行性腎炎、腎盂腎炎、膠原病、アミロイドーシス等がある。

腎疾患の主要症状としては、悪心、嘔吐、食欲不振、頭痛等の自覚症状、浮腫、貧血、アシドーシス等の他覚所見がある。

検査としては、尿検査、血球算定検査、血液生化学検査(血清尿素窒素、血清クレアチニン、血清電解質等)、動脈血ガス分析、腎生検等がある。

人工透析療法施行中のものは2級と認定する。なお、主要症状、人工透析療法施行中の検査成績、長期透析による合併症の有無とその程度、具体的な日常生活状況等によっては、さらに上位等級に認定する。

検査成績は、その性質上変動しやすいものであるので、腎疾患の経過中において最も適切に症状をあらわしていると思われる検査成績に基づいて認定を行うものとする。

糸球体腎炎(ネフローゼ症候群を含む。)、腎硬化症、多発性嚢胞腎、腎盂腎炎に罹患し、その後慢性腎不全を生じたものは、両者の期間が長いものであっても、相当因果関係があると認められる。

腎疾患は、その原因疾患が多岐にわたり、それによって生じる臨床所見、検査所見も、また様々なので、検査成績によるほか、合併症の有無とその程度、他の一般検査及び特殊検査の検査成績、治療及び病状の経過等も参考とし、認定時の具体的な日常生活状況等を把握して総合的に認定する。

腎臓移植の取扱い

ア:腎臓移植を受けたものに係る障害認定に当たっては、術後の症状、治療経過、検査成績及び予後等を十分に考慮して総合的に認定する。

イ:障害年金を支給されている者が腎臓移植を受けた場合は、臓器が生着し、安定的に機能するまでの間を考慮して術後1年間は従前の等級とする。

人工透析に関するよくある質問

人工透析を受けている方からいただくよくあるご質問をまとめました。

仕事をしながら人工透析を受けていたら障害年金はもらえない?

Q. 仕事をしながら週に3回の人工透析を受けているのですが、収入があるため障害年金は受給できませんか?

A. 仕事をしていても人工透析を受けている方は障害年金を受給することができますので、安心してください。

しかし、20歳前に初診日がある方は所得制限がありますので、その点だけ注意が必要です。

参考【20歳前傷病による障害基礎年金にかかる所得制限】

単身世帯(扶養親族なし)の場合…所得額が360万4千円を超える場合は年金額の2分の1が支給停止、462万1千円を超える場合は全額停止

2人世帯の場合…所得額が398万4千円を超える場合は年金額の2分の1が支給停止、500万1千円を超える場合は全額停止

人工透析中でも障害者手帳は取得していないのですが

Q. 人工透析を開始して、障害者手帳は取得していません。その場合でも障害年金はもらえますか?

A. 障害者手帳と障害年金の制度と法律は全く別ものですので、障害者手帳を取得せずに障害年金の請求(申請)をすることはできます。すぐにでも障害年金の手続きをしましょう。

腎臓移植をしたら障害年金は支給停止?

Q. 人工透析をしていたのですが、腎臓移植をすることになりました。その場合、今受給している障害年金はそのまま受給できますか?

A. 現在すでに障害年金を受給している方が腎臓移植を受けた場合には、術後1年間は同じ等級の障害年金を受給することができます。その後は、術後の症状、治療経過、検査成績、予後等により総合的に認定されるため、場合によっては支給停止もしくは級落ち(2級から3級)することが考えられます。

65歳以降に人工透析を受けるようになったら?

Q. 今65歳で最近人工透析を受けることになりました。10年以上前に初診日がある慢性腎不全によるものです。障害年金は今から受給できますか?

A. 65歳の方は障害年金の事後重症請求をすることができませんので、人工透析を始めた今から障害年金の請求(申請)をすることができません。65歳以降は障害認定日請求のみとなりますので、障害認定日に人工透析をしていれば可能です。ただし、老齢年金を受給している方は、老齢年金か障害年金のどちらか一つを選択になるため、既にもらっている老齢年金を返還しなければならない等の調整があり、注意が必要です。

人工透析を受けている方が障害年金を受給する手続きについて

人工透析を受けている等の腎疾患で障害年金を請求(申請)する場合の流れは、以下のとおりです。

1. 初診日の確定

初診日を確定することは、人工透析を受けている等の腎疾患の障害年金請求(申請)で最も重要です。今通院している病院が初めてかかったところでしたら問題ありませんが、それ以前に転院などをしている場合には、その一番初めにかかった医療機関を特定することから始めます。

2. 保険料納付要件の確認

① 初診日が確定したら、まずは請求する障害年金制度の種類が確定します。初診日に厚生年金の加入者でしたら障害厚生年金、国民年金の加入者や主婦など配偶者であれば障害基礎年金になります。

② 初診日の前日の時点で、2か月前から1年間遡って保険料の未納・滞納がないかを確認します。直近1年間で1か月も未納・滞納がなければ納付要件はクリアになりますが、1か月でも滞納がある時は、20歳からこれまでの加入記録全部を確認して、3分の2以上納めていればOKです。

3. 受診状況等証明書の取得

初診日の証明書を取得します。既にカルテが破棄されていて受診状況等証明書が取得できない場合には、様々な方法により初診日の証明をしていきます。

4. 診断書の取得

初診日が確定したら、そこから1年6か月経過後の「障害認定日」が決まります。この時点での病状をその当時の医師に診断書を書いてもらいます。どれだけ医師から協力を引き出せるかが重要になります。

ポイント

※「障害認定日」に障害状態でない場合には、現在の病状を記載した診断書が必要になります。⇒ 事後重症請求

※「障害認定日」に障害状態で1年以上経過している場合は、障害認定日と現在の診断書の2枚が必要になります。⇒ 遡及請求

5. 病歴・就労状況等申立書の作成

診断書は医師が内容を記入するのに対して、病歴・就労状況等申立書はご本人が唯一、ご自身の状況を説明して提出できる書類になります。人工透析(腎疾患)のご本人が請求する際には、細かく困っていることを訴えて書いている人も少なくありませんが、審査する側が端的に分かるように要点を押さえて、過不足なく書くことが重要です。

6. 各種提出書類の収集および請求書等の作成

7. 年金事務所または市区町村役場へ提出

人工透析専用 受給判定・相談フォーム

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